アラゴナイトの結晶です。
柱のような大きな結晶に小さな結晶が群生し、キラキラと光っています。
アラゴナイトは赤色が一般的ですが、グリーンもあります。
透明感がありキラキラ光るものは珍しくハイクオリティな一品です。
二色がグラデーションしているものをセレクトしました。
アラゴナイトはカルサイトのお仲間でありながら、結晶系が異なるため違う鉱物とされています。
六角形の六方晶に見えますが、実は斜方晶がくっついて六角形になっています。
こちらの鉱物でよくわかるのですが、真ん中の大きな柱は二つの結晶がくっついて一つになっています。
柱は六角形に見えますが、よく見ると斜めの四角形(斜方晶)なんですね。
他の小さな結晶も六角形に見えそうで、よく見るとカルサイトの原石のような菱形なんです。
まるで彫刻のように見事で繊細なアラゴナイト。
貫入している結晶もありとても見ごたえがあります。
ギリシャ神殿のような立派な柱状で直立します。
鉱物的にも美的にも楽しめる標本です。
Aragonite(霰石)
35x24x22mm
17.3g
モロッコ産
・レターパックプラス(510円)
アラゴナイトはカルサイトのお仲間のカルシウム。貝化石から作られるアラゴナイトカルシウムというのもあるそうです。そのカルサイトと一緒にドロマイトの石灰層でも産出されます。アラゴナイトからドロマイトに置換された有名なものに岩手県北上市産の球状苦灰石があり、アラゴナイトの球状の結晶の形を残しながら不透明なドロマイトになっています。
スペインのAragon地方から産出されるためアラゴナイトと名付けられましたが、日本でもアラレにそっくりななのであられ石(霰石)と呼ばれ、英名と和名がそっくりな珍しい石ですね。全方位に放射状に結晶、この形はスプートニク(衛星)と呼ばれて流通しています。赤色は鉄分で天然石ではイエローが一般的です。
古代メソポタミアのシュメール人はアラゴナイトに絵を彫り印章を作っていたそうで、楔形文字の手紙に押印していたとか。アラゴナイトには一説には人脈の石と言われているらしく、人と人を繋ぎ人気を高める力があるようですが、古代人が手紙の印章にアラゴナイトを使っていたことから生まれたのかもしれませんね。
赤とグリーンのグラデーション、クリアで繊細な柱状の結晶に一目惚れして購入しました。赤いだけのアラゴナイト、グリーンオンリーのアラゴナイトの中で二つの色が入っており透明度が高い物がとても美しく絶妙なバランスで石の美しさを表現しています。結晶の形も複雑で面白く、透明感のある輝きはカルシウムの結晶だからでしょうか。カルサイトとよく似た透明感と質感です。小さくこびりついた結晶は繊細で儚げですが真ん中の切り株のようにたくましい結晶と対照的です。疑似六方と呼ばれる結晶ですが、アクアマリンなど六方晶系の結晶原石はとても強く惹かれるものがあります。六角柱の結晶がとても完璧で力強いせいかもしれません。
アラゴナイトは鍾乳洞の鍾乳石の成分もアラゴナイトなのですが、生物によっても生成され、真珠や貝殻などの海の無脊椎動物の硬い殻などはアラゴナイトだそうです。ちょっとびっくりですね!