キラキラ光るレピドクロサイトや黒いマイカが入ったクォーツです。
透明なクォーツの中に赤と黒のとても華やかな世界が広がります。
ボトム部分に大きな虹も入っています。
こちらはインクルージョンを最大限に大きく見せるカットがされており
クォーツは拡大鏡のようなレンズの役目をしています。
インクルージョンは底面のみに入っており
そのため丸いクォーツが水晶体のようなレンズでインクルージョンを拡大します。
このようなカットはガーデンクォーツにも見られるテクニックで
レンズの作用でインクルージョンが何倍にも大きく見える仕掛けになっています。
インクルージョンを底面だけに残してカット出来るのは
インクルージョンが面になっているからなのですが
これは表面に成分が付着している水晶ポイントや
内部で山のようなホログラムを作るファントムクォーツなどを思い出して頂ければわかると思います。
表面にインクルが付着した水晶ポイントなどをカットすれば
こちらのように大きなレンズにして研磨することが可能です。
水晶の中の鉱物たちの世界が拡大され夢のように広がる光景をお楽しみいただけます。
また通常のカットよりも遠くからでもインクルが大きく見えるのも嬉しいところです。
水晶の表面は傷もなく滑らかに研磨されています。
Mica &Lepidocrocite in Quartz(雲母、鱗鉄鉱入り水晶)
20x13x9mm
19cts./3.8g
バイーア州(ブラジル)
雲母はグループ名の総称で、鉱物としては白雲母(モスコバイト)や鱗雲母(レピドライト)、黒雲母(バイオタイト)などがあります。キラキラと光る六角形の結晶が特徴で、完全な劈開性を持ち剥離しそうな薄い板状になっています。花崗岩を始め多くの岩石に入っています。和名ではきら、きららとも呼ばれます。天然石にキラキラとした輝きを与える石で、アクアマリンの結晶と一緒になっているモスコバイトは天使の羽根のようにかわいらしい鉱物です。
レピドクロサイトは水晶の中に赤色の針状や繊維状で現れることが多く、同じように針状になって現れるよく似たゲーサイトは同質異像のお仲間で、アメジストのようなクォーツに一緒になって入っているので見分けることが困難なほどです。両方ともスーパーセブンの七つの要素に当たります。
ギリシャ語で鱗(うろこ)を意味する「lepidos」と繊維を意味する「kroke」からレピドクロサイトと名づけられました。鱗というより鱗粉のようなレピドクロサイトのインクルージョンがその名前の由来かもしれませんね。
前進、変化を促し持つ人の人生に多様性をもたらすと言われています。古くは呼吸器系の病気や血液や背骨の不調に用いられたと言われています。
ここまで大胆にカット出来るのも水晶の透明度のおかげもあると思います。レンズの効果を果たすためにはクリアでなければよく見えません。人間の眼球にも水晶体という機能が備わっていますが、水晶体は光の屈折を調節し、ピントを合わせる役割をします。カメラのレンズと同じで遠くを見るとき小さくなり、近くを見ると大きくなります。赤ん坊の時はとても大きく加齢によって小さくなるため、近くの物が見えづらい老眼は水晶体が小さくなっているせいでもあります。白内障はこの水晶体が濁ることによって起きる症状です。
レンズ効果によって雲母の形やきらめきがよく見えレピドクロサイトも大きく広がっているように見えます。透明なクォーツの中の赤と黒のコントラストはシンプルですが幻想的で、水の中を覗いているような気分になります。水晶は単体では癒しの効果はわかりにくいですが、インクルを覗き込むことによってまるで水の中にいるような気分になるため、それが癒しの効果を生むのではないかと思います。ガーデンクォーツを始め、古くは価値のないとものとされていた近年のインクル入り水晶の人気は、この癒しの力もあるでしょう。