ライムストーンに刻まれたデンドライト。
ドイツ産はジャーマン・デンドライトとも呼ばれます。
こちらはメキシコ産。
ドイツ産のため高価だったのですが、リーズナブルな価格で入荷するようになりました。
50カラットの大きなルース。
そのためデンドライトの模様がよく見えます。
コレクションによいでしょう。
シダ植物のようなデンドライトの模様が見事です。
化石っぽい雰囲気が満載のデンドライト・ライムストーン
表面に少しラメのような砂岩の由来のキラキラも見えます。
Dendrite Limestone/Psilomelane Dendrite(忍石)
41x33x5mm
50cts./10g
Mexico
デンドライトは鉱物の亀裂に混入したマンガンが浸透し、樹枝状に結晶したものです。結晶化したマンガンが植物や樹木もそのものに見るのは、自然の奇跡と言わざるをえません。ライムストーンに入ったデンドライトは、「デンドライト・ライムストーン」や成分の名前をそのまま取った「サイロメレーン(硬マンガン鉱/Psiromelane)・デンドライト」とも呼ばれます。
サイロメレーンは天然石にもなっており、アゲート模様のメタリックな黒い石なので、そのビジュアルから「リボンヘマタイト」とも呼ばれていますがヘマタイトとは別の石です。デンドライト・ライムストーンも「ヘマタイト・デンドライト」として流通していることもあり、デンドライトオパールと違って呼称が統一されていないようです。共通しているのは、石自体よりもインクルージョンであるデンドライトをメインにしている所です。偽化石とまで呼ばれるように、化石に近い扱いになっています。
判で押したように平らにカットされ、表面はデンドライトの成分を残すため研磨されずざらざらしています。石よりもプリントされたようなデンドライトの模様を切り取ってルースの形にした感じです。ライムストーン(石灰岩)は様々な微生物や貝類などが堆積し、炭酸カルシウムなどが沈殿した堆積岩なので、化石が発見されたりデンドライトのような成分の結晶も多く見られます。
デントライトはギリシャ語で樹木を意味するdendronに由来します。デントライトには樹木の記憶が残っていて、樹木や森の意識と繋がりをもたらしてくれる気がします。デンドライトオパールが冬の雪原に生える針葉樹林のような風景ならば、デンドライト・ライムストーンは砂漠や荒野にたくましく生える低灌木を思わせます。まるで恐竜時代の樹木の記憶を残したようなライムストーンのデンドライト。日本語で「忍石」と呼ばれるのもデンドライトのどんな所でも葉を伸ばす植物や樹木のたくさましさを表しているように思います。
地球上の微生物や生物のエネルギーによって生まれた石灰岩は、鉱物ではないですが、生き物の記憶が生んだ石にはどこかまろみや柔らかさがあるように思います。蜂蜜色のやさしい色の石といえば、英国のコッツウォルズで採れるコッツウォルズストーンが有名ですが、コッツウォルズはこの地方の石を使った建築物で有名な街。イングリッシュガーデンと組み合わされた街の美しさは童話の世界のようにかわいらしく、イギリスの観光名所でもあります。尚、コッツウォルズストーンは「ライムストーン」とも呼ばれているそうです。