中国雲南省で採れるブルーアラゴナイトの結晶です。
雲南省はヒマラヤ造山帯の東端。
インド亜大陸が衝突し、ヒマラヤ山脈が出来る強いエネルギーで大地の歪みが生まれた場所です。
炭酸水のような爽やかさと透明感。
アクアマリンとよく似た色味で、結晶の形も疑似六方と呼ばれる同じ六方晶系。
透明感や輝きもよく似ています。
アラゴナイトの塊状の結晶がよくわかりビューティフルな逸品。
ここまできれいに残っている結晶は珍しいと思います。
とってもラブリーです。
アラゴナイトはカルサイトのお仲間でありながら、結晶系が異なるため違う鉱物とされています。
六角形の六方晶に見えますが、実は斜方晶がくっついて六角形になっています。
柱は六角形に見えますが、よく見ると斜めの四角形(斜方晶)なんですね。
他の小さな結晶も六角形に見えそうで、よく見るとカルサイトの原石のような菱形なのです。
Aragonite(霰石)
59x49x12mm
24g
Yunnan Province, China(中国雲南省)
アラゴナイトはカルサイトのお仲間のカルシウム。貝化石から作られるアラゴナイトカルシウムというのもあるそうです。そのカルサイトと一緒にドロマイトの石灰層でも産出されます。アラゴナイトからドロマイトに置換された有名なものに岩手県北上市産の球状苦灰石があり、アラゴナイトの球状の結晶の形を残しながら不透明なドロマイトになっています。
スペインのAragon地方から産出されるためアラゴナイトと名付けられましたが、日本でもアラレにそっくりななのであられ石(霰石)と呼ばれ、英名と和名がそっくりな珍しい石ですね。全方位に放射状に結晶、この形はスプートニク(衛星)と呼ばれて流通しています。赤色は鉄分で天然石ではイエローが一般的です。
古代メソポタミアのシュメール人はアラゴナイトに絵を彫り印章を作っていたそうで、楔形文字の手紙に押印していたとか。アラゴナイトには一説には人脈の石と言われているらしく、人と人を繋ぎ人気を高める力があるようですが、古代人が手紙の印章にアラゴナイトを使っていたことから生まれたのかもしれませんね。
群生した小さな結晶群が圧巻なアラゴナイト・クラスター。疑似六方と呼ばれる結晶ですが、アクアマリンなど六方晶系の結晶原石はとても強く惹かれるものがあります。六角柱の結晶がとても完璧で力強いせいかもしれません。
アラゴナイトは鍾乳洞の鍾乳石の成分もアラゴナイトなのですが、生物によっても生成され、真珠や貝殻などの海の無脊椎動物の硬い殻などはアラゴナイトなのです。珊瑚の成分もアラゴナイトやカルサイトから成るため、とてもよく似た色をしています。
人魚が消えた海の泡のような結晶を持つブルーアラゴナイト。モコモコとした塊状の結晶ですが、針のような柱状の結晶も共生しています。貝殻の成分から生まれたブルーアラゴナイトには海の女神、海の生命力と繋がるイメージがあるように思います。