桜色の美しいルース。
モザルカイトという聞きなれない石ですが、アメリカのミズーリ州で採れるローカルな石です。
フリントストーンと同じ部類のチャート(岩石)
Mozarkiteという名前は、Mo (Missouri), zark (Ozarks), and ite (meaning rock)という造語です。
(
ウィキ調べ)
Ozarksというのはミズーリ州や周辺の州をまたぐオザーク高原のことです。
この地域原産なのでこの名前が付いたのですね。
岩石なので美観を伴う天然石になる石は稀で、その中でもこのように美しいのはさらに希少になります。
また国内で消費されてしまうので、国外へ出ることも極めて希少。
日本で見ることもほとんどないでしょう。
鮮やかな原色や極彩色も貴重ですが、こちらのように滲み出るような淡い色をしている石も珍しいです。
桜の花のような丸みを帯びた結晶や白から桃色へのグラデーション
ゴールドのように見える母岩の痕跡などすべてが美しくマッチングしています。
まるで日本画のように上品で高貴な雰囲気をたたえています。
カットも面白いですが、大きさもたっぷりあります。
細部までよく見える見応えも手応えもある一品です。
鉱物名___MOZARKITE(チャート/岩石)
サイズ___40X31×6mm
重さ____42.5ct./8.6g
石の処理__グロス研磨(艶出し)
原産地___ミズーリ州(アメリカ)
アメリカ中部の高原地帯で産出されるモザルカイト。オハイオ・フリントもきれいなピンク色をしていますが、アメリカのフリントストーンの中には稀にきれいなピンク色のものが出て天然石として加工されているようです。
元はチャートですが、シリカやカルセドニーを多く含んでいるそうです。そのため研磨に耐えるほど硬度を持ち、天然石に加工されるものは固く、モース硬度は7.5にも及びます。
モザルカイトの発掘は1950年代初め頃からミズーリ川やオザーク湖などミズーリ州で行われています。約4億8千年前のオルドビス紀のドロマイト層から発掘されるため、モザルカイトの生成年代もその時代になります。
アメリカのフリントストーンにはとても華やかなピンク色のものが散見されます。美しいものが天然石として加工されるので、元々は岩石のため輝石ではないようですが、きれいなものは見たことのないほどの上品な桜色と薄桃色から白へのグラデーションを放っており、独特の気品を持っています。混合鉱物なのでピンク色がメインの物は希少で、今回ご紹介するのはモザルカイトの中でもかなりハイクオリティだと思います。
こちらの淡い桃色を見ているとチューライトに似たものを感じます。どちらも土着なローカルな石で、あまり主張の強くない桃色をしています。まるで土地の女神のような、その土地に根差した守護神のような女神。巫女さんのような初々しさと清らかさがあります。
そういえばチューライトもノルウェーの古い地名から名づけられたもの。モザルカイトも原産地の名前を組み合わせて付けられています。どちらもその土地との強い繋がりが名前に表れていますね。それだけ地元の人が愛着を持っていて愛されているからだと思います。そんな風に大事にされている石がはるばる海を渡って遠い日本にやって来たのも何かのご縁。多少の申し訳なさと共にどなたかの手に届く運命ならば、有難く受け取って大事にして頂ければと思います。